2020.9.5の「王様のブランチ」Book Rankingの特集コーナーで紹介されていた、武田綾乃さん著『愛されなくても別に』。
貧困、孤独を抱える今の20代のリアルを描いて、多くの共感を読んでいる話題作です。
なんと発売後すぐに重版が決まったほど話題の1冊についてまとめてみました。
コロナで外出がままならないこの時期、おうちでじっくり読書はいかがですか?
作家「武田綾乃」さん (27)インタビューより
二十歳だった大学生の頃にデビューして今年で7年の武田綾乃さん。
代表作は高校の吹奏楽部を描いた『響け!ユーフォニアム』シリーズで、累計発行部数162万部を突破しています。
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さらに、学校の屋上から飛び降りた女子高生の青春ミステリー『その日 朱音は空を飛んだ」は吉川英治文学賞新人賞候補作に。
そして今回の特集で取り上げられた最新の「愛されなくても別に」は、10代の頃からいつかは家族愛の小説を描こうと決めていた彼女の意欲作。
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この作品のテーマは、「いろいろな親子のあり方」。
自分が10代の頃に、こういう作品が手元にあったら、何かしら力になったんだろうな、と感じるものを創りたくて生み出した作品だそうです。
読んだ人からも、「この作品があったから、また明日から頑張れると思った」と共感度120%の、力のあるストーリー。
親とのいびつな関係に悩む女性たちの物語、誰でも一つは当てはまる共感でいっぱいです。
親子の理解がすれ違っている子がこの作品の中にはたくさん出てくるのですが、「親からもらった名前と、その子のアイデンティティが真逆になるように」登場人物の名前を付けようと思ったのだそう!
面白いですね!現実の世界にもいますよね、名前と正反対の性格の人・・・笑
あらすじは次の章に続きます。
『愛されなくても別に』あらすじ
『愛されなくても別に」の主人公宮田陽彩は19歳。
名前のように、太陽のように明るく彩りのある性格になって欲しいとの親の願い虚しく、冒頭から陽彩は「私の大学生活を一言で表すならクソだ」という言葉から物語は始まっています。
いつも後ろ向きなことばかり考えている陽彩の大学生活は、授業以外はアルバイトに費やされている毎日。
友達も1人もいない。
なぜなら、大学に行くことに反対する母と2人で暮らす陽彩は、月に8万円を家に入れ、学費も自分で稼がなければならないから。
それだけでなく、朝までアルバイトで働き、帰宅してからは母の分まで食事の用意や掃除、洗濯をすることが、母と約束した大学に行く条件だったのだ。
そんな母親の決まり文句が・・・
「愛してるわ、陽彩」。
この言葉を信じて疑わない陽彩は次第に追い詰められていき、こんな風に考える。
「世界中の人間が皆不幸になってくれたなら、きっと私は今より少しだけ 自分は生きていてもいいんだと思えるだろう」
追い詰められた陽彩に、著者の武田さんが託した言葉は・・・。
「愛情は、全てを帳消しにする魔法じゃない」
「自分は必要とされていると思うことが、自己肯定感に繋がる」
というメッセージが作品の中に流れている。
だけど、そんな必要とされていることや、愛してるなんて言葉を言われても、実感して感じられない時も多々ある。だから、「自分が生きていこうと決めて生きることそのものが自己肯定」なんだよということ。
陽彩のアルバイト先に、同級生の江永雅がやってきた。
ある時、雅から、「警戒した方がいいよ。親なんて結局他人なんだからさ」と忠告があった。
雅は、複雑な家庭環境で育ち、親を信じることができず、今では一人暮らし。
忠告を受けた陽彩は、もしやと思って確認すると、いざという時のために貯めておいたお金を母親に使い込まれていたことに気づく。
「私ね、多分、このままだとお母さんを殺しちゃう。だから一緒にいない方がいい」
と言い残し、アパートを出て雅の所に転がり込む。
そこで、雅の壮絶な親との過去や、1人で生きていく理由を知ることに。
雅はこう言う。
「アタシは、他人に愛されなくとも幸せに生きることを許されたい。いいじゃん、愛されなくても別に」
愛されることが目的じゃなくて、愛されなくても自分は強く生きていくぞ、と言う主人公が書けたら、と言う思いで書かれたこの作品。
自らの人生を切り開いていく、生きていく勇気がもらえるストーリーです。
まとめ
2020.9.5の王様のブランチBook Rankingの特集コーナーで紹介されていた、武田綾乃さんの「愛されなくても別に」をご紹介しました。
愛されなくても、自分は強く生きていって幸せになって見せる、と言う若者の思いが頼もしく感じる一方、やっぱり世界には親の愛情に満たされて育った子供がいっぱいいて欲しい、と願わずにいられませんでした。。。
今の20代のリアル。この年頃のお子さんがいらっしゃる親御さんにもぜひ読んで頂きたいと思いました。
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